1. 歴史認識と国家観:修正主義的言説への批判
参政党は「戦後教育によって日本人が自尊心を失った」とし、独自の歴史解釈を提示していますが、これが以下の点で大きな議論を呼んでいます。
- 日中戦争は日本の自衛戦争だったと主張:日中戦争を中国側のテロに対する「自衛戦争」であり、侵略は嘘だと主張しましたが実際は異なります。満州事変を成功体験とした日本の膨張主義が背景にあり、満州国を拠点に勢力拡大を図った結果の侵略行為であり、自衛説は否定されています。
世界史寸評 参政党の歴史観を考える - 東南アジアへの日本軍侵攻を正当化:日本軍は東南アジアで「欧米の植民地支配からの解放」したと述べています。確かに当初は解放軍として歓迎された地域もありましたが、現実は食糧の強奪や「ロームシャ」と呼ばれた強制労働が常態化し、人々の不満は抗日運動へと発展しました。日本国内ではこうした負の側面は伏せられてきましたが、戦争と飢餓によって、膨大な数の民間人が命を落としたという歴史的事実もあります。
神谷氏演説
インドネシアにおける日本軍政の実態 -その光と影- - 自虐史観の否定: 戦後の歴史教育を「自虐史観」と断じ、日本の軍事行動や植民地支配の肯定的側面を強調する姿勢が、過去の加害責任を軽視し、国際的な孤立を招くリスクがあると指摘されています。
2. 外交認識:ロシア・ウクライナ情勢と対米姿勢
- ロシア侵攻の正当化・擁護: 「ロシア側のプロパガンダに沿ったものが目立ちます。例えば、参政党は2025年3月の声明(該当リンク)で、ウクライナ侵攻について「ウクライナ東部のロシア系住民の問題(ウクライナ軍のロシア系住民の虐殺)やNATOの東方拡大など、複雑な要因が絡み合っている。一方的な視点での非難ではなく、これらの要因を総合的に理解し、公平な立場での解決策を模索することが重要である」という、ロシア側のナラティブ(物語)に沿った主張をしています。
また、参政党の代表の神谷宗幣氏は日本記者クラブ主催の討論会で、「(クリミア併合で追放されたG8に)ロシアを復帰させよう」と、ロシアによるウクライナへの攻撃が連日行われている中で、そうした戦争犯罪を許容するかのような発言をしています。
「最悪」は参政、「最高」は共産ーガザ攻撃、ウクライナ侵攻への対応は隠れた重要争点、社民や立憲も高評価 - 対米自立と安全保障のリスク: 日米関係を「不平等」とし、アメリカ依存からの脱却を提唱しています。しかし、その代替案として示されるロシアや中国との独自の距離感が、日本の安全保障の基盤を揺るがしかねないという懸念が持たれています。
3. 実現可能性が疑問視される経済・社会政策
ポピュリズム的との指摘を受ける、巨額の財源を伴う公約が並びます。
- 子供一人月10万円の給付: 0歳から15歳までの子供への給付を掲げていますが、年間十数兆円に及ぶ財源の確保策や、急激な現金給付がもたらす物価上昇・社会制度への影響に対する説明が不十分とされています。
【参政党公約】子供一人につき10万円 - 有機農業で食料自給率100%を目指す: 2050年までに食料自給率100%を目指し、化学肥料等を使わない「有機農業」への順次切り替えや、学校給食での有機食材義務化を提唱しています。あわせて、農家を「公務員化」して安定雇用と増産を推進する方針ですが、生産性の低下や経済性(財源がない)の観点から批判も出ています。
参政党が「有機農業や農家の公務員化で自給率100%」を訴える - 消費税の廃止: 約30兆円にのぼる税収減をどのように補填するのか、具体的かつ現実的な裏付けがないまま支持を集めようとする手法が疑問視されています。
4. 科学的知見と陰謀論への親和性
- 反ワクチン・科学への疑義: 新型コロナワクチンのmRNA技術を否定し、接種停止を求める主張を継続しています。医学的エビデンスを軽視し、公衆衛生を危うくする「反ワク」言説として、専門家から厳しく批判されています。
- 陰謀論的言説: 国際組織や多国籍企業が国家を支配する「グローバリズム」の脅威を訴え、支持を広げました。一方で、こうした根拠に乏しい「陰謀論」の拡散が社会に混乱を与えてるとして批判されています。
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5. 外国人政策の過ち
参政党候補者が「外国人が増えると治安が悪化する」という趣旨の発言をし、差別を助長すると批判を浴びました。排外的な言説が地域の共生を脅かす危険性が高いとされています。
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6.思想の偏った有償セミナーにより党員や支持者を洗脳
党独自の有償セミナーを頻繁に開催し、そこへ親ロシア、反グローバル主義、反ワクチンを標榜する講師を招いています。こうした活動を通じて、党員や支持者を根拠のない特定の陰謀論的な方向へ洗脳していると指摘されています。
また、こうした活動が、陰謀論を拡散する発信者や組織を経済的な基盤となっており、「陰謀論ビジネス」を支えているとの指摘もされています。
7.公共インフラに関する言説と事実誤認
参政党は、宮城県の水道事業を例に挙げ、「外資による水道の乗っ取り」や「民営化による料金高騰」を訴えていますが、これらは事実と異なる、あるいは極端な解釈であると指摘されています。
- 「水道民営化」という表現の誤り: 宮城県が導入したのは「みやぎ型管理運営方式」であり、これはコンセッション方式(運営権の譲渡)です。施設の所有権は依然として「宮城県」にあり、行政が最終的な責任と決定権を保持しています。完全に民間企業に売却する「民営化」とは根本的に異なりますが、参政党はこれを「民営化」と一括りにして危機感を煽っているとの批判があります。
- 「外資への売却」というデマ: 運営を担う「みずむすびマネジメントみやぎ」は、メタウォーター(日本企業)を筆頭とした国内企業を中心とするコンソーシアムです。フランスのヴェオリア・ジェネッツも参画していますが、あくまで10社連合のうちの1社に過ぎません。「外資が日本の水を支配する」という極端な言説は、実際の運営体制を無視したナショナリズムへの訴えかけであると指摘されています。
- 料金決定権に関する誤解: 参政党の街頭演説等では「民間が勝手に料金を上げる」といった主張が見られますが、実際には水道料金の改定には議会の承認が必要であり、民間企業が独断で決定することはできません。コスト削減による経営の効率化が目的であり、むしろ老朽化対策などの将来的な負担軽減を目指した施策であるという行政側の説明を無視し、一方的に「改悪」として宣伝する手法が問題視されています。
総評 参政党の主張は、現状に不満を持つ有権者の受け皿となる一方で、歴史的事実の軽視、経済的非現実性、科学的根拠の欠如という3つの大きな問題を抱えています。これらの極端な主張が、国政政党としての責任ある政策立案と相反するのではないかという議論が続いています。



