赤字国債の売れ残りを日銀が買い取ったばインフレななるのか?

Gemini2.5 FlashGemini との会話

財源を赤字国債で、減税を実施した国はありますか?財源を赤字国債で、減税を実施した国は複数存在します。特に顕著な例として、イギリスが挙げられます。2022年9月には、当時のトラス政権が大規模な減税政策を発表しましたが、その財源が政府の大幅な借り入れ(国債発行)に依存していたため、国際通貨基金(IMF)などから強い批判を受けました。IMFは、この政策が生活費危機を加速させ、不平等を助長する可能性があると警告しました。

また、日本においても、過去に赤字国債を財源として減税を行った事例があります。例えば、平成6年から8年度にかけては、消費税率の引き上げに先行して行った減税による税収減少を補うために、「減税特例公債」が発行されました。

これは、国債発行によって減税の財源を賄った典型的な事例と言えます。

一般的に、景気刺激策や特定の政策目的のために減税を行う際、税収が不足する場合には国債発行で財源を補うことがありますが、これが恒常化したり、財政状況が逼迫している中で大規模に行われたりすると、財政悪化やインフレなどの懸念が生じます。市中銀行の売れ残りを日銀が引き受ければ、市中銀行に資金が溜まるだけね基本的にインフレにはならないはずですが?市中銀行の売れ残りの国債を日銀が引き受ける(買い取る)ことで、市中銀行に資金が溜まるのは事実であり、それが「基本的にインフレにならない」と考えるのは、金融政策の仕組みの一部を捉えていると言えます。

しかし、より広い視点で見ると、それは必ずしもそうとは限りません。市中銀行に資金が溜まるだけ、という見方:日銀が市中銀行から国債を買い取ると、その対価として日銀当座預金(市中銀行が日銀に持つ預金)が増えます。これは、市中銀行にとって「資金」が増えたことになりますが、この資金がすぐに実体経済に流れ出し、物価を押し上げる「インフレ」に直結するかというと、そうとは限りません。「預金準備率」と「貸し出し」: 市中銀行に資金が溜まっても、その資金を全て企業や個人への貸し出しに回すわけではありません。銀行は預金準備率(銀行が預金の一部を日銀に預け入れる義務)を満たす必要があり、また、貸し出しには適切な需要(借り手)が必要です。デフレ期や景気が低迷している時期は、企業や個人の資金需要が乏しく、銀行が貸し出しを増やしたくても、借り手が見つからず、結果的に資金が銀行内に滞留することがあります。「マネタリーベース」と「マネーストック」: 日銀が国債を買い取って供給する資金は「マネタリーベース(中央銀行が供給する通貨)」と呼ばれます。一方、実際に市中に出回っているお金(預金通貨など)は「マネーストック」と呼ばれます。マネタリーベースが増えても、それがすぐにマネーストックの増加に繋がるとは限りません。銀行が貸し出しを増やし、それが預金として新たなマネーストックを生み出すことで、初めてマネーストックが増加し、それが物価上昇圧力となる可能性があります。

しかし、インフレに繋がる可能性も考慮する必要がある点:上記のように、すぐにインフレに繋がらないこともありますが、中央銀行による国債の大量引き受けが長期間にわたって続くと、以下のような経路でインフレに繋がる可能性が高まります。財政規律の緩み: 中央銀行が国債を無制限に引き受けるようになると、政府は財源確保の制約が緩み、安易に国債を発行して財政支出を増やす誘惑に駆られます。

これが「財政ファイナンス」と呼ばれ、国の借金が増え続け、最終的に国民の信認を失うことにつながりかねません。国の財政に対する信認が揺らぐと、通貨の価値が下落し、インフレを引き起こす可能性が高まります。将来的なインフレ期待: 資金が市中銀行に滞留していても、市場参加者(企業や個人)が「中央銀行がこれだけ資金を供給しているのだから、いずれ物価は上がるだろう」というインフレ期待を形成すると、それが消費や投資を刺激し、実際に物価を押し上げる可能性があります(自己実現的な期待)。金融機関の行動変化: 金融機関に潤沢な資金が供給され続けると、貸し出し競争が激化したり、よりリスクの高い投資に資金を回したりするインセンティブが働く可能性があります。これにより、信用創造が活発化し、マネーストックが増加してインフレ圧力となることがあります。

需給ギャップの縮小: 景気が回復し、生産能力の限界に近づく中で、中央銀行が引き続き大量の資金供給を行っていると、需要過多となり物価が上昇しやすくなります。日本の例と「財政法第5条」:日本の場合、財政法第5条で「日本銀行は、直接国債を引き受けてはならない」と定められており、これは「日銀引き受けによるインフレの防止」を主な目的としています。

戦時中の過度な国債の日銀引き受けが戦後のハイパーインフレを引き起こした反省に基づいています。ただし、日銀は市場を通じて国債を買い入れています(公開市場操作)。これは「直接引き受けている」わけではない、という建前ですが、実際には市場に出回る国債の多くを日銀が購入している状況であり、実質的に財政ファイナンスに近いとの批判も存在します。結論として、市中銀行の売れ残りの国債を日銀が引き受けても、直ちにインフレに繋がるとは限りません。特に、デフレ期や景気低迷期は、資金需要が乏しいため、資金が銀行内に滞留しやすい傾向があります。しかし、長期的に見れば、財政規律の緩み、インフレ期待の醸成、金融機関の行動変化、需給ギャップの縮小など、様々な経路を通じてインフレに繋がるリスクをはらんでいます。中央銀行の国債引き受けは、常に慎重な判断が求められる政策です。

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