日本放射線影響学会 第55回大会 市民公開講座 2.中村 仁信

この動画は、京都大学名誉教授の内海博司氏と大阪府立大学の児玉氏が司会を務める講演会の一部で、彩都友紘会病院長の中村博信先生による「放射線の人体影響と防護 医師の立場から」と題されたものです。

講演では、放射線の基礎知識として、人体に放射線が当たると活性酸素が発生すること、そして活性酸素は放射線だけでなく、呼吸、運動、過度な飲食、ストレス、タバコなど様々な要因で過剰に発生し、これらががんの原因となる因子と一致することが説明されています。

また、放射線の影響は急性被ばくと慢性被ばくで異なり、同じ線量でも分割して被ばくしたり、慢性的に被ばくしたりするほど影響は少ない(線量率効果)とされています。

発がんのしきい値については、ICRPの「しきい値なし仮説」に対し、中村先生は放射線単独による発がんにはしきい値があると考えており、局所被ばくによる発がんや白血病にはしきい値があることを例に挙げています。また、放射線によるがんのリスクはごくわずかであり、他の生活習慣の改善の方ががんのリスク低下に繋がると述べています。

小児への影響については、子供はDNA修復能力が高いため、必ずしもがんになりやすいとは言えないとし、チェルノブイリでの甲状腺がんの発生は、特定の理由によるものであり、福島とは状況が異なると説明しています。

内部被ばくについても、人体への悪影響は小さいとし、長期間にわたって被ばくする「預託線量」という考え方で評価され、同じ線量でも急性被ばくより影響が小さいと考えられています。

最後に、中村先生は、放射線単独による発がんにはしきい値があり、低線量での小児のリスクは証明されておらず、内部被ばくも恐れる必要はないと結論付けています。また、長期的な低線量被ばくでは、むしろがん死亡の減少の可能性もあると考えているとのことです。

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