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2016年2月8日に行われた衆議院予算委員会での、放送法の解釈を巡る質疑応答の書き起こし記事の要点は以下の通りです。
放送法解釈を巡る質疑の要点(高市総務大臣・籾井NHK会長)
この記事は、2016年2月8日の衆議院予算委員会における、民主党の奥野総一郎議員と、高市早苗総務大臣、籾井勝人NHK会長との、放送法第4条の解釈に関する質疑を書き起こしたものです。
1. 質疑の背景:ニュースキャスターの相次ぐ降板
奥野議員は、安倍政権に批判的とされてきたニュースキャスター(古舘氏、岸井氏、国谷氏、大越氏)が相次いで降板していることを問題視しました。その背景として、自民党が特定の番組に対し、アベノミクス批判や安全保障法案に関する報道内容の「政治的公平性」が欠けているとして、名指しで文書による注意勧告を行っていた事例を挙げました。
2. 「政治的公平性」の解釈論争
奥野議員は、放送法第4条の**「政治的に公平であること」**という番組準則について、「放送法順守を求める視聴者の会」が個々の番組内での公平性を求める見解を示していることを取り上げ、従来の「番組全体を通して判断する」という総務省の解釈が変更されたのかを問いました。
- 籾井NHK会長の見解: 籾井会長は、理屈としては年間を通じて全体でバランスを取るのが正しいとしつつも、実態としてバランスを取るためには**「一つひとつの番組の中で極力バランスを取りながら放送していく必要がある」と答弁しました。また、番組の公平性が守られているかの判断は、会長ではなく「最終的には視聴者**になる」と述べ、奥野議員から「極めて無責任な答弁」と厳しく批判されました。
3. 高市総務大臣の「電波停止」発言
奥野議員が、放送局に対して業務停止命令や電波停止の処置の可能性があるか否かを問うたのに対し、高市総務大臣は以下のように答弁しました。
「放送事業者が、番組全体として特定の政治的な意見のみを継続して取り上げており、かつ、それを是正しないと認められるような場合、行政指導を行うことはあり得る」とした上で、「公共の利益を著しく害すると認められる場合には、電波法によって業務停止命令を出す可能性も排除されないため、『電波の停止がないとは断言できない』」と発言。放送局への制裁措置の可能性を否定しないという、重い見解を示しました。
◼️追記
自民党が出した文書は下記のとおり 高市議員が出したものではない
文書の概要と背景奥野信亮議員(自民党)が国会で質疑した背景にある「文書による注意勧告」とは、主に2014年から2015年にかけて、安倍政権下の自民党が放送局に対して、報道内容の「政治的公平性」(放送法第4条第1項第2号)を理由に発したものです。これらは、アベノミクス批判や安全保障関連法案の報道が「偏向している」との指摘に基づき、特定の番組(例: TBS「NEWS23」、テレビ朝日「報道ステーション」、NHK「クローズアップ現代」)を名指しで批判・注意する内容でした。これらの文書が、ニュースキャスターの降板(古舘伊知郎氏、岸井成格氏、国谷裕子氏、大越健介氏の関連番組)につながったとされる事例です。以下に、主な文書の詳細(いつ、誰が出したか)を時系列でまとめます。情報は総務省の行政文書や報道に基づきます。
日付 | 発行者(誰が出したか) | 対象放送局・内容の概要 |
---|---|---|
2014年11月20日 | 自民党(萩生田光一 筆頭副幹事長名義) | 在京キー局6局(NHK、TBS、テレビ朝日、日本テレビ、フジテレビ、テレビ東京)に対し、「報道の公平中立、公正の確保」を求める文書。衆院解散直前のTBS「NEWS23」での安倍政権批判的な街頭インタビューを問題視。 |
2014年11月26日 | 自民党(福井照 報道局長名義) | テレビ朝日「報道ステーション」に対し、個別番組を名指しで「政治的公平性に欠ける」と指摘。意見対立問題の多角的論点提示が不十分と注意。 |
2015年8月頃 | 自民党(報道局) | NHKに対し、安全保障関連法案の報道姿勢を問題視し、文書で「政治的公平性」の確保を求める。国谷裕子氏の番組「クローズアップ現代」を念頭に置いたとされる。 |
2015年(具体日不明、複数回) | 自民党(幹部・報道局) | テレビ朝日とNHKの幹部を党本部に呼び、個別番組(アベノミクス批判関連)の事情聴取を実施。文書形式の注意勧告を含む。 |
追加の文脈
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