「移民(いみん)」という言葉は、国際的な定義が一つに定まっているわけではありませんが、一般的には、国境を越えて移動し、新しい国に定住する(永続的、または長期的に居住する)人を指す総称です。
国際移住機関(IOM)による広範な定義では、移民は以下の特徴を持つ「あらゆる人」を指します。
- 本来の居住地を離れた人
- 国境を越えて、または一国内で移動した人
- 移動の理由、自発性、法的地位、滞在期間にかかわらない
移民の一般的な分類と「難民」との違い
「移民」は非常に広い概念であり、その中で移動の理由や目的によって細かく分類されます。特に「難民」との区別が重要視されます。
分類 | 定義(一般的な理解) | 移動の理由 | 国際法上の保護 |
移民 | 自発的な意思や選択で、長期的な居住や就労を目的に他国へ移り住む人。 | 仕事、家族との合流、教育、より良い生活環境の追求など。 | 基本的には個別の国の法律(入管法など)による。 |
難民 | 紛争、迫害、人権侵害などの非自発的な理由で、生命の危険から逃れるために国境を越えた人。 | 迫害、紛争、戦争など、避けがたい危険。 | 難民条約など国際法に基づき、特別な保護が認められる。 |
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【ポイント】
- 広義では、難民も「国境を越えて移動した人」であるため、移民の一部と見なされます。
- しかし、議論の場では、自発的な理由で移動した人々を「移民」、**非自発的な理由で移動を強いられた人々(難民)**と区別して扱うことが多いです。
日本における「移民」と行政用語
日本政府は「移民政策はとらない」という立場を明確にしており、「移民」という言葉を公式な行政用語として使うことは避けています。
日本で長期滞在・定住している外国人には、「永住者」「定住者」のほか、「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格(ビザ)を持つ外国人労働者や留学生などが含まれます。国際的な視点で見ると、これらのうち長期的に居住する人々は「移民(または国際的な移住者)」と見なされることがあります。
移民は帰化してる人?
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いいえ、「移民」と「帰化している人」は、必ずしも同じではありません。
「移民」は移動の事実に着目した広い総称であり、「帰化」は法的な身分(国籍)の変更手続きを指します。
1. 「移民」の定義
「移民」は、国境を越えて移動し、新しい国に長期的に住む人々の総称です。彼らの法的地位はさまざまです。
- 「移民」に含まれる人々の例:
- 永住権を持っている外国人(永住者)
- 就労ビザなどで長期滞在している外国人(移住労働者)
- 難民として受け入れられた外国人
- 帰化してその国の国籍を取得した人(元移民)
2. 「帰化」の定義
「帰化」とは、外国籍の人が、その国の法務大臣などの許可を得て、その国の国籍を取得し、国民になることです。(日本では国籍法に基づく手続き)
項目 | 帰化者 | 永住者(移民の一種) |
国籍 | 日本国籍を取得する。 | 外国籍のままである。 |
法的地位 | 日本人(国民)となる。 | 外国人である。(在留資格「永住者」を持つ) |
参政権 | あり。(選挙権、被選挙権) | なし。 |
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結論
- 帰化者は、元々は移民(外国から移住してきた人)であった人が、手続きを経て日本の国民になった人です。
- しかし、多くの移民は、帰化せずに永住権(外国籍のまま無期限で住める権利)を取得して、外国籍のまま生活しています。
したがって、「帰化している人」は元移民ですが、すべての「移民」が帰化しているわけではありません。
安倍政策での外国人受け入れ計画
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安倍政権下の外国人受け入れ政策は、**「移民政策ではない」**と明言しつつ、深刻化する人手不足への対応と経済成長の促進を目的に、複数の分野で外国人人材の受け入れを大幅に拡大した点に特徴があります。
主な政策の柱と計画は以下の通りです。
1. 新たな在留資格「特定技能」の創設 (2019年導入)
人手不足が特に深刻な産業分野で、即戦力となる外国人材を受け入れるために創設されました。これが安倍政権下で最も大きな制度変更です。
- 目的: 労働力不足の緩和。
- 対象分野: 介護、建設、農業、外食など、12~14の特定産業分野。
- 在留資格の種類:
- 特定技能1号: 最長5年間の在留。家族帯同は基本的に不可。
- 特定技能2号: 熟練した技能を持つ者を対象とし、在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になる(実質的な永住への道が開かれる)。当初は建設など2分野のみでしたが、後に大半の分野に拡大されました。
- 初期目標: 制度導入後5年間で、最大34万5千人の受け入れを見込みました。
2. 高度外国人材の優遇・拡大
優秀な専門人材を世界中から呼び込むための施策を強化しました。
- 高度人材ポイント制の優遇: 「学歴」「職歴」「年収」などに基づきポイントを付与する制度を改定し、高ポイント取得者に対する永住権取得までの在留期間を大幅に短縮(通常10年→最短1年、3年)する措置を講じました。
- 特定分野での規制緩和: 国家戦略特区を活用し、家事支援人材(外国人による家事代行)や創業人材などの受け入れを地域限定で試験的に実施しました。
3. 既存制度の拡大運用
人手不足に対応するため、従来の制度の運用を広げました。
- 外国人技能実習制度の拡大: 「国際貢献」を建前としていた技能実習制度の対象分野を、介護など人手不足の分野へ拡大し、実質的に労働力確保の手段として運用を拡大しました。
- 留学生のアルバイト活用: 留学生の就労制限(週28時間以内)は維持しつつも、留学生の増加自体が人手不足の緩和に寄与しました。
政策の基本的なスタンス
安倍政権は、一貫して「労働力として優秀な外国人」を積極的に受け入れる一方で、「いわゆる移民政策」はとらないという立場を堅持しました。
しかし、「特定技能2号」のように、永住や家族帯同を認める制度を拡大したことから、「実質的な移民受け入れ政策」であるという指摘が国内外からなされてきました。これらの政策は、日本の外国人労働者数を大幅に増加させる要因となりました。
特定技能1号は移民?
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特定の文脈では「移民」と見なされることもありますが、日本の制度上の定義や、国際的な「移民」の一般的な定義に照らすと、特定技能1号は厳密な意味での「永住型の移民」とは区別されます。
この区別は、在留期間と永住権取得の可否、家族帯同の可否という、移民政策における重要な要素に基づいています。
特定技能1号が「移民ではない」とされる理由
特定技能1号が、政府が否定する「移民」政策ではないとされる主な理由は、在留期間と永住性の制限です。
項目 | 特定技能1号 | 永住型の移民(特定技能2号/永住権など) |
在留期間の上限 | 通算5年(期限あり) | 制限なし(無期限) |
家族帯同 | 原則として不可 | 可能(配偶者と子) |
永住権申請 | 不可(在留期間が永住要件の算入対象外) | 可能 |
制度の目的 | 人手不足分野における即戦力の確保 | 長期定住・社会統合の促進 |
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1. 永住権(定住)への道が閉ざされている
特定技能1号で在留した期間は、永住許可の要件である「引き続き10年以上本邦に在留していること」の期間に算入されません(出入国在留管理庁のガイドラインによる)。
つまり、特定技能1号の外国人が日本に永住するためには、より高度な在留資格である特定技能2号や技術・人文知識・国際業務などに移行する必要があります。
2. 在留期間に上限がある
特定技能1号は、通算で最大5年間しか日本に滞在できません。期限が設けられているため、永続的な定住を意味する「移民」とは定義上異なります。
3. 家族帯同ができない
家族の呼び寄せ(帯同)が原則として認められていない点も、永住を前提とする「移民」とは大きく異なる特徴です。
まとめ:実質的な位置づけ
特定技能1号は、**日本の労働力不足を補うための期限付きの「外国人労働者」**という位置づけです。
ただし、特定技能1号から特定技能2号に移行すれば、在留期間の上限がなくなり、家族帯同も可能になり、永住権取得の道も開かれます。この特定技能2号は、実質的に永住型の移民として機能する制度設計となっています。
特定技能2号は移民?
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政府の公式見解としては**「移民政策ではない」**とされていますが、特定技能2号は、実質的には永住(定住)につながる「移民」に近い制度だと見なされています。
その理由は、国際的な「移民」の定義に合致する重要な要素をすべて満たしているためです。
特定技能2号が「移民に近い」とされる理由
項目 | 特定技能2号の制度設計 | 永住型移民の要件 |
在留期間 | 上限なし(更新可能) | 無期限の滞在を前提とする |
家族帯同 | 配偶者と子の帯同が可能 | 家族と共に生活基盤を築く |
永住権申請 | 在留期間が永住要件に算入される | 長期滞在を経て永住資格を得られる |
技能水準 | 熟練した技能(即戦力より高度)が求められる | その国でのキャリア形成と定住を前提とする |
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1. 永住権取得の道が開かれている
特定技能2号の在留期間は、他の一般的な就労ビザと同様に、永住権申請に必要な「就労資格をもって引き続き5年以上在留していること」という要件にカウントされます。
そのため、特定技能2号として日本に10年以上在留し、その他の要件(素行、納税、安定した生計など)を満たせば、**永住許可(永住権)**を申請することが可能です。
2. 家族と共に長期定住が可能
特定技能2号を取得すれば、配偶者と子を日本に呼び寄せ、家族と共に日本で生活することができます。家族生活を営むことは、その国に永続的に定住する「移民」の最も重要な要素の一つです。
結論
日本政府は「特定技能制度は、あくまで人材確保を目的とした外国人材受け入れ政策であり、移民政策ではない」という立場をとっています。
しかし、特定技能2号が持つ「在留期間の上限なし」「家族帯同可能」「永住権取得につながる」という特性は、実質的に永住を前提とした外国人材の受け入れルートであり、国際的な文脈では**「定住労働者(移民)」**として位置づけられることが一般的です。
帰化してる人以外で年金を受け入れる可能性はありますか?
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はい、帰化していない外国籍の方でも、日本の年金を受け取る可能性は十分にあります。
国籍や在留資格の種類に関わらず、日本の公的年金制度に加入していた外国籍の方は、大きく分けて以下の2つの方法で年金を受け取ることができます。
1. 老齢年金(終身年金)として受け取る
日本人と同様に、以下の要件を満たせば、帰国後も含めて生涯にわたり日本の老齢年金を受け取る権利があります。
受給の主な要件
- 年金加入期間:10年以上
- 国民年金や厚生年金保険の保険料を納めた期間や、免除期間、合算対象期間などを合算して10年以上あること。
- 受給開始年齢:原則として65歳
ポイント: 年金を受け取る権利は国籍や永住権の有無に関係なく発生するため、要件を満たしていれば、帰国後、海外からでも日本の年金機構に請求手続きを行い、年金を受け取ることができます。
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