ドイツの難民審査は、主に連邦移民・難民庁(BAMF)が実施する複雑な手続きです。申請者はいくつかの段階を経て、難民認定、保護、または滞在許可を求めます。
難民審査の主な流れ
- 到着と登録
- ドイツに到着後、難民申請者は速やかに最寄りの警察署、外国人局、または入国管理局に身分を明かします。
- 登録後、難民申請者は「到着証明書」を受け取り、初期滞在施設(Erstaufnahmeeinrichtung)に収容されます。
- 庇護申請(個人面接)
- 申請の提出: 難民申請者は、BAMFの支所で個人的に庇護申請を行います。郵送での申請は原則として認められません。
- 面接: 難民申請の理由を個人的に詳しく説明するための面接が実施されます。
- 通訳者が同席するため、ドイツ語が話せなくても面接は可能です。
- 申請者は迫害の恐怖や深刻な危害の脅威を感じる理由、移動経路、以前の滞在国などの詳細を説明する必要があります。
- この面接内容は書面に記録され、申請者の母国語に翻訳されて渡されます。
- 証明書類: 申請者は、身元を証明できるパスポート、出生証明書、運転免許証などを可能な限り提示する必要があります。
- ダブリン規則: 申請の登録時に指紋が採取され、他のEU諸国で難民申請をしていないか「ダブリン規則」に基づいて確認されます。
- 審査と決定
- BAMFの担当者は面接内容と提出された証拠に基づき、難民認定の可否を決定します。
- 決定は書面で申請者に通知され、不服申し立ての権利に関する情報も記載されます。
- 「安全な出身国」と指定されている国(アルバニア、ガーナ、セルビアなど)からの申請者は、原則として却下または棄却されます。
- 結果の種類
- 難民認定: 国連の難民条約に基づき、迫害の恐れがあると認められた場合に与えられます。
- 補助的保護: 難民条約の条件を満たさないものの、母国で深刻な危害を受ける現実的な危険がある場合に与えられます。
- 退去強制の禁止: 難民認定や補助的保護には至らないが、帰国により生命や身体に重大な危険が及ぶ可能性がある場合に適用されます。
- 却下: 難民認定の要件を満たさないと判断された場合です。
- 異議申し立て
- 決定に不服がある場合、申請者は裁判所に不服申し立てを行うことができます。
- 2025年6月には、国境での難民申請拒否を違法とする行政裁判所の決定が報じられるなど、政策の動向は常に変化しています。
審査の特徴
- 面接重視: 日本が書面審査を重視するのに対し、ドイツは面接で難民申請の理由を詳細に聞き取ることを重視します。
- 手続きの長期化: 多数の申請があるため、審査には時間がかかることがあります。
- 社会統合への支援: 難民認定者は、ドイツ語講座や就労支援などの統合プログラムに参加できます。
注記: ドイツの難民政策は、流入状況や政治情勢によって頻繁に変更されるため、最新の情報はBAMFのウェブサイトなどで確認することが重要です。
申請が通る率何%?
ドイツの難民申請が通る割合は、申請者の国籍や申請時期の政治情勢などによって大きく変動します
。一律の「申請が通る率」を示すことはできません。
最新のデータでは、難民認定率が急激に低下している傾向が見られます。
2025年上半期
- 全体の認定率: 26.5%
- 2025年上半期のドイツの保護認定(難民認定、補助的保護、退去強制の禁止を含む)の総合的な割合は**26.5%**でした。
- これは、過去数年間(59〜72%)と比較して大幅な低下です。
国籍ごとの認定率(2025年上半期)
- アフガニスタン: 60%強に急落
- 2024年の93%から大幅に減少しました。
- イラン: 25.8%に減少
- 2024年の36.7%から減少しました。
- シリア: 審査が保留状態
- 2024年12月にアサド政権が崩壊して以来、審査が中断されています。
傾向と背景
- 政治的背景: ドイツでは政権交代により、移民・難民の受け入れに厳しい政策が取られるようになっています。
- 不服申し立ての増加: 認定率の低下に伴い、難民申請者の多くが行政裁判所に訴訟を起こしています。2025年上半期だけで9万件近い訴訟が起こされました。
- 過去との比較: 過去10年間で見ると、ドイツは平均して半数以上(56%)の申請を認可していました。
このように、難民申請の認可率は、特定の時期の政治動向や出身国によって大きく左右されるため、常に変動していることに注意が必要です。
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