このYouTube動画「核融合は実現しない? エントロピーの法則にどこまであらがえる? 地球の歴史 その69」は、人類の夢である核融合発電の原理、実現の難しさ、そして経済的な課題について解説しています。
動画の主な内容
1. 核融合の原理と「人工の太陽」 [00:10]
- 核融合とは、太陽の中心で起きている水素の燃焼(核融合反応)を地上で再現する技術です。
- これが実現すれば、水素がある限り半永久的に発電でき、「人工の太陽」を手にした人類はエネルギー問題を解決できるとされています [00:33]。
2. 核融合と通常の燃焼の違い [00:51]
- 通常の燃焼(水素と酸素が結合して水になる反応)は、原子の外側にある電子の殻が結合する反応であり、原子の芯である原子核は関与していません [03:06]。
- 核融合は、原子核同士が反応する現象であり、原子核で働く力は日常的な力の100万倍も大きいものです [03:30]。
3. 核融合を起こすための条件 [03:43]
- 核融合を起こすには、原子核を包む電子を剥ぎ取るため、まず温度を**1万℃**程度まで上げます。
- さらに、プラスの電気を持つ原子核(陽子)同士の反発力を抑えて融合させるため、温度を**1億℃**まで上げる必要があります [04:05]。
- この高温のガスを容器の壁に触れさせないよう、強力な電磁石(磁場)で中央に閉じ込めるのが、一般的なトカマク型核融合炉の仕組みです [06:32]。
4. 核融合実現の歴史と遅延の理由 [08:08]
- 1955年、インドのバーバ教授は「20年後に核融合は実現する」と予測しました [08:22]。
- しかし、その後も「核融合はいつまで経っても20年後に実現する」と言われ続けています [08:56]。
- 遅延の主な理由は、高温のプラズマ(電子を剥ぎ取られたガス)が予想外の複雑な挙動を示すことが、研究の進展を困難にしているためです [09:19]。
- 核融合は技術的には可能であり、不可能なわけではなく、現在は試験運転ができる段階まで進歩しています [10:34]。
5. 核融合の経済的な課題:エントロピーの法則 [11:17]
- 太陽と異なり、人類は圧力の再現が難しいため、燃料として通常の水素ではなく、より反応しやすい重水素と**三重水素(トリチウム)**を使用します [11:52]。
- 重水素は海水中に7,000個に1個しか存在せず、トリチウムは自然界にほとんど存在しないため、核融合炉内でリチウムを使い自己生産する必要があります [14:37]。
- 動画では、この**「薄いもの(資源)を集める」**というプロセスが、エントロピーの法則に逆らう行為であり、大きなエネルギーと手間がかかると指摘しています [15:24]。
- 結論として、核融合は技術的には可能でいずれ実現するが、「水素1gで石油8トン分」という高効率が、燃料の抽出・製造や設備の維持にかかる全てのコストを賄って本当に黒字になるのかは、まだ未知数であると述べています [18:03]。
コメントを残す