高市早苗総理 初の所信表明演説(2025年10月24日)
高市総理は、「日本と日本人の底力を信じ」、日本の未来を切り開く責任を担うとして、「絶対に諦めない決意」を持って、国家国民のために働くと表明しました。
Ⅰ. 基本姿勢と政治の安定
1. 政権運営の基本
- 連立政権の樹立: 政治の安定なくして政策推進はできないとの思いから、自由民主党と日本維新の会による連立政権を樹立しました。
- 広範な政策への対応: 政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案も柔軟かつ真摯に議論する姿勢を示しました。
- 政治の信頼回復: 政治への信頼回復のための改革に全力を尽くすことを誓いました。
- 問題解決への決意: 「それが国家国民のためであるならば、決して諦めない」をこの内閣の不動の方針としました。
Ⅱ. 経済・財政政策:強い経済の構築
1. 経済・財政の基本方針
- 経済あっての財政: 経済の成長を最優先し、「責任ある積極財政」のもと、戦略的に財政出動を行います。
- 好循環の実現: 所得増や消費マインド改善を通じ、事業収益が上がり、税率を上げずとも税収を増加させる経済の好循環を目指します。
- 財政の持続可能性: 成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑えることで、財政の持続可能性と市場からの信頼を確保します。
2. 物価高騰対策(最優先課題)
国民の暮らしを守るため、物価高騰への対応を最優先で取り組みます。
- 経済対策と補正予算: すでに経済対策の策定を指示しており、野党との対話と合意を積み重ねながら、速やかに取りまとめ、必要な補正予算を国会に提出します。
- 給付金の見送り: 参院選の公約であった給付金については、国民の理解が得られなかったため実施しないと表明しました。
- ガソリン・軽油税: ガソリン税の暫定税率廃止法案の今国会での成立を目指し、軽油引取税の暫定税率も早期廃止を目指します。廃止までは補助金で価格引き下げに対応します。
- 料金支援: 寒さが厳しい冬の間の電気・ガス料金の支援を行います。
3. 中小企業・医療介護への支援
- 医療・介護施設支援: 赤字に苦しむ医療機関や介護施設に対し、報酬改定の時期を待たず、経営改善と従業者の処遇改善につながる補助金を措置して効果を前倒しします。
- 取引単価の見直し: 国・地方自治体から民間への請負契約単価を、物価上昇を踏まえて適切に見直します。
- 中小企業・小規模事業者支援: 生産性向上支援事業、事業承継・M&Aの環境整備などを通じ、賃上げと設備投資を強力に後押しします。
- 地域支援: 地方交付金を拡充し、物価高の影響を受ける生活者や農林水産業などへ、地域の実情に合った支援を迅速に行います。
Ⅲ. 成長戦略と地方創生
1. 成長戦略の推進
- 日本成長戦略会議: 経済の器を大きくするため、「日本成長戦略会議」を立ち上げます。
- 危機管理投資: 成長戦略の肝を「危機管理投資」とし、経済安保、食料安保、エネルギー安保、健康医療安保、国土強靭化などのリスクや社会課題に対し、官民連携で戦略的な投資を行います。
- 先端技術: AI、半導体、量子、宇宙などの戦略分野に大胆な投資・人材育成を行い、「世界で最もAIを開発活用しやすい国」を目指します。
2. 地方創生と農林水産業
- 地域未来戦略: 地方に大規模な投資を呼び込み、地域ごとに産業クラスターを戦略的に形成することで、地域未来戦略を推進します。
- 農林水産業: 食料安全保障の観点から、5年間の農業構造転換集中対策機関を設け、別枠予算を確保します。先端技術を活用し「稼げる農林水産業」を創出します。
Ⅳ. 暮らしと社会保障の改革
1. 税と社会保障の一体改革
- 国民会議の設置: 少子高齢化を乗り切るため、超党派かつ有識者を交えた国民会議を設置し、税と社会保障の一体改革について議論します。
- 医療体制: 高齢化に対応した医療体制の再構築のため、入院だけでなく外来・在宅医療・介護との連携を含む新しい地域医療構想を策定し、病床の適正化を進めます。
2. 教育・負担軽減
- 給付付き税額控除: 中低所得者の税・社会保険料負担を軽減し、所得に応じて手取りが増えるようにするため、早期に給付付き税額控除の制度設計に着手します。
- 103万円の壁: 年末調整では160万円まで対応します。また、基礎控除を物価に連動した形で引き上げる税制措置について議論します。
- 教育の無償化: 高校の無償化と給食の無償化について、安定財源の確保と合わせて来年4月からの実施を目指し、制度設計を進めます。
3. 人口減少対策と外国人材
- 人口減少対策: 人口減少を日本の最大の問題と認識し、子ども・子育て政策を含む人口減少対策を検討する体制を構築します。
- 外国人材: 外国人材を必要とする分野がある一方、一部の違法行為等に対し国民が不安や不公平を感じる状況があるため、政府として毅然と対応し、政府の司令塔機能を強化します。土地取得等のルールについても検討を進めます。
Ⅴ. 外交・安全保障
1. 国際情勢と外交の基軸
- 日米同盟: 日米同盟は外交安保政策の基軸です。トランプ大統領の訪日機会に信頼関係を構築し、日米関係をさらなる高みに引き上げます。
- インド太平洋: 「自由で開かれたインド太平洋」を引き続き推進し、グローバル・サウス諸国との連携強化に取り組みます。
2. 周辺国・国際課題への対応
- ロシア・ウクライナ: ロシアによるウクライナ侵略について、「力による一方的な現状変更の試みを許してはならない」と強く非難しました。日露関係は厳しい状況にあるが、領土問題を解決し平和条約を締結するという方針は堅持します。
- 北朝鮮・拉致問題: 核・ミサイル開発は容認できず、拉致問題はこの内閣の最重要課題です。すべての拉致被害者の早期帰国実現にあらゆる手段を尽くします。
- 中国・韓国: 韓国とは首脳対話を通じ関係改善を図り、中国とは建設的かつ安定的な関係を構築する一方、安全保障上の懸念事項についても率直に対話を重ねていきます。
3. 防衛力と憲法改正
- 防衛力の強化: 国家安全保障戦略に定める対GDP比2%水準について、今年度中に補正予算と合わせて前倒しして措置を講じます。
- 安全保障3文書: 来年中に3文書(国家安全保障戦略など)を改定することを目指し、検討を開始します。
- 憲法改正: 総理在任中に、国会による憲法改正の発議を実現していただくため、憲法審査会での超党派の議論が加速することを期待します。
Ⅵ. 国土強靭化と災害対策
- 防災庁の設立: 巨大災害(南海トラフ、首都直下地震など)への対策を最優先課題とし、来年度の防災庁の設立に向けた準備を加速します。
- 事前防災・予防保全: ハード・ソフトの両面で事前防災・予防保全を徹底し、老朽化したインフラの整備・保全を進めます。
- 首都機能分散: 首都の危機管理機能のバックアップ体制を構築するため、首都機能分散及び多極分散型経済圏を形成する観点からの検討を急ぎます。
- 被災地復興: 福島、能登半島地震、豪雨の被災地の復興に全力を尽くします。
動画情報
| 項目 | 詳細 |
| タイトル | 【LIVE】高市総理 初の所信表明演説 衆院本会議(2025年10月24日)|TBS NEWS DIG |
| チャンネル | TBS NEWS DIG Powered by JNN |
| 公開日 | 2025年10月24日 |
| URL | https://www.youtube.com/watch?v=YU6DiZI2a0c |
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