日本のエネルギー現状、対策、そして将来的な技術についてまとめます。
🇯🇵 日本のエネルギー現状
日本のエネルギー供給は、資源が乏しいという根本的な課題を抱えており、2022年度のエネルギー自給率(化石燃料等を除いた純国産エネルギー供給の割合)は、主要先進国の中でも低い水準にあります。
⚡ 令和4年度(2022年度)の発電電力 電源構成
| エネルギー源 | シェア率 |
| 石炭 | 30.8% |
| 石油等 | 8.2% |
| 天然ガス | 33.8% |
| 原子力 | 5.5% |
| 水力 | 7.6% |
| 太陽光 | 9.2% |
| 風力 | 0.9% |
| 地熱 | 0.3% |
| バイオマス | 3.7% |
現在の発電構成は、依然としてLNG(液化天然ガス)や石炭などの化石燃料による火力発電が全体の約72%を占め、高い依存度にあることが課題。
温室効果ガスを排出しない電源のうち、再生可能エネルギー(太陽光、水力、風力、バイオマスなど)の割合は約22%に達し、増加傾向にあります。
政府は、2030年度までに再生可能エネルギー比率を36〜38%に拡大する目標を掲げており、特に太陽光発電を中心とした導入拡大の取り組みが加速しています。
また、非化石電源のもう一つの柱である原子力発電の割合は、一部のプラントの再稼働により約5%となっています。原子力についても、2030年度の目標値(20〜22%)の達成に向けて、再稼働や次世代技術の導入が今後のエネルギー政策の重要な焦点となっています。
日本の発電割合の内訳はどうなっている? 再エネの活用状況とあわせて紹介!newable-energy-saiene-usage-status/
🎯 日本のエネルギー対策(現在の取り組み)
1. 再生可能エネルギーについて
- 太陽光発電の限界と今後
- 太陽光発電施設の新規案件は激減し、ピーク時電力供給割合はわずか0.8%に低下。買取価格の下落と送電線接続可能な土地の枯渇、平地面積あたり世界一の導入量から、大規模増設は物理的に困難で飽和状態といえます。適切な場所での再エネ導入と安定電源のバランスが不可欠です。
再エネ計画は飽和状態?|アベプラ - 太陽光発電の多様化
最も一般的なのは、戸建て住宅や事業所の屋根や屋上で、切妻屋根や片流れ屋根などが利用されます。
また、未使用の空き地を利用した大規模な地上設置型発電所も一般的です。
さらに、駐車場の上部に設置するカーポート(ソーラーカーポート)や、農業を続けながら農地の上空に設置する農地(ソーラーシェアリング)など、土地の有効活用が進んでおり、今後も期待できます。
太陽光パネルの設置場所の選び方と注意点 - 太陽光パネル破棄の問題:太陽光パネル(ソーラーパネル)の廃棄に関して、鉛やカドミウムなどの有害物質を含むため、特殊な技術によるリサイクル処理が必要とされています。しかし、現状では処理が高額で、ほとんどのパネルが埋立により廃棄されているのが実情です。
2040年頃には大量廃棄時代が到来すると予測されており、環境保護と処理規制を遵守するためにも、適切な処分方法の確立が喫緊の課題となっています。
太陽光パネルがリサイクルできない理由は?処分方法についても解説
- 太陽光発電施設の新規案件は激減し、ピーク時電力供給割合はわずか0.8%に低下。買取価格の下落と送電線接続可能な土地の枯渇、平地面積あたり世界一の導入量から、大規模増設は物理的に困難で飽和状態といえます。適切な場所での再エネ導入と安定電源のバランスが不可欠です。
- 風力発電の活用
- CO2を排出しない、夜間も発電可能、変換効率が高いなど多くのメリットを持つ再生可能エネルギーです。日本では、設置場所の確保や騒音問題を解消できる洋上風力発電に特に注力しています。
普及に向けた主な課題は、風況による発電量の不安定さや初期費用の高さですが、政府は2030年度に電源構成の5%を目指し、導入拡大に向けた取り組みを推進しています。洋上風力の大量導入により、将来的に発電コスト低減が見込まれています。
ただし、景観の問題や洋上発電に関しては生体系の影響も懸念されてます。
風力発電のメリット・デメリットを解説!日本の現状と普及に向けた取り組みも紹介
- CO2を排出しない、夜間も発電可能、変換効率が高いなど多くのメリットを持つ再生可能エネルギーです。日本では、設置場所の確保や騒音問題を解消できる洋上風力発電に特に注力しています。
- 送電網の整備: 再エネ導入の隘路となっている送電線の容量不足を解消するため、地域間連系線の強化や、デジタル技術を活用した次世代送電網(スマートグリッド)の構築を進めています。
2. 火力発電の脱炭素化
- 高効率化: 非効率な石炭火力発電(超臨界圧以下)を2030年のエネルギーミックス実現に向けて削減するため、「第5次エネルギー基本計画」に基づき、新たな規制的措置の導入や早期フェードアウトを誘導する仕組みを検討し、高効率な発電へのシフトを促しています。
非効率石炭火力発電をどうする?フェードアウトへ向けた取り組み
また、最高水準の高効率大型ガスタービン(GTCC)を三菱重工が開発。熱効率61%以上を達成し、従来の石炭火力などに比べCO2排出量やNOx排出量を約50%削減し、地球温暖化対策に大きく貢献することが期待されます。
世界最高水準の高効率・大型ガスタービンで、地球環境やエネルギー問題に貢献 - 非化石燃料の導入: 既存の火力発電所に、CO2を排出しない、あるいは排出量を大幅に削減できる燃料を混ぜて燃焼させる技術(混焼)を導入します。
- アンモニア混焼: 石炭火力発電において、燃料の一部をアンモニアに置き換える技術です。
燃料アンモニアの導入拡大に向けた取組
注)混焼率50%以上2030年代前半、100%は2040年代以降になりそう - 水素混焼: LNG火力発電において、燃料の一部を水素に置き換える技術です。
国内LNG火力発電所における水素利用の実証事業の採択について
- アンモニア混焼: 石炭火力発電において、燃料の一部をアンモニアに置き換える技術です。
3. 原子力発電の活用
東日本大震災後、すべての原子力発電所が停止しましたが、脱炭素で大量のエネルギーを安定的に供給できるため、安全が確保できたものから再稼働し、休止中のものについても安全が確保できたものから順次再稼働していくのが現状です。
原子力発電の現状と今後、問題点を下記に述べていきます。
- 原子力発電の現状:原子力発電所の現在の運転状況
運転中 8発電所(12基)
停止中 10発電所(21基)
廃止措置中 12発電所(20基)
廃止 1発電所(6基)
建設中 3基
建設中は、電源開発大間、東京電力東通、中国電力島根3号機です。
原子力発電所の現在の運転状況 - 安全確保を大前提とした再稼働: 地域の理解を得ながら、安全性が確認された下記停止中の原発から順次再稼働を進め、ベースロード電源として活用します。
北海道電力 泊: 1号機、2号機、3号機
【3号機再稼働決定】
東北電力 東通: 1号機
東北電力 女川: 3号機
東京電力HD 柏崎刈羽: 1号機、2号機、3号機、4号機、5号機、6号機、7号機
【2026年1月再稼働の予定】
日本原子力発電 東海第二: 全基(1基)
中部電力 浜岡: 3号機、4号機、5号機
北陸電力 志賀: 1号機、2号機
日本原子力発電 敦賀: 2号機
四国電力 伊方: 3号機
九州電力 川内: 1号機 - 老朽化や安全性が確保できない原子力発電は廃炉化へ
福島原発事故後の安全規制厳格化や、老朽化による運転期間終了している発電所は廃炉化処理を進めています。解体作業は数十年かかり、放射性廃棄物の最終処分場が決まっていないため、後始末にはコストと時間がかかりそうです。
廃炉時代到来 原発解体 - 課題 使い終わった燃料の廃棄
使用済燃料は再処理され、高レベル廃液はガラス固化体にして、青森六ヶ所村の再処理工場で貯蔵後、地下300m以深に地層処分されます。
しかしながら、再処理工場は大量の放射能放出や大事故の危険性、巨大なコスト、低レベル廃棄物増大の問題から、中止の訴えもあります。
とめよう!六ヶ所再処理工場
🚀 将来的な技術への取り組み(ドリーム燃料を含む)
日本は、中長期的なエネルギー課題の解決と脱炭素化の最終手段として、次世代の革新的なエネルギー技術開発にも積極的に投資しています。
1. 小型モジュール炉(SMR)
- 冷却材自然循環や地下設置により安全性を高め、分散電源にも適用可能な次世代原子炉です。
しかし、SMRは大型炉と異なりスケールメリットがないため、量産によるコスト低減や安全基準の確立が最大の課題です。先行する米国プロジェクトの中止事例もあり、経済性の評価が今後の実現可能性を左右します。
日本では、海外との連携で2030年までの技術実証を目指しており、三菱重工はPWR型小型炉の2040年頃の市場投入を目標としています。政府の工程表では、国内で機器製造・建設を2030年代から始め、2040年代に実証運転を開始する計画です。
小型軽水炉「SMR」の開発現状
2. 核融合発電
- 水素などの軽い原子核を融合させ、その際に生じる莫大なエネルギーを利用する発電技術です。核分裂を利用する現行の原子力発電と比べて、高効率で、燃料となる重水素が海水中にほぼ無限に存在するため資源枯渇の心配がありません。また、二酸化炭素を排出せず、放射性廃棄物の生成も少ないため、環境負荷が低いのが大きなメリットです。
一方、高温のプラズマを制御・維持する技術的課題や、設備建設にかかる莫大なコスト、重水素を海水から取得することのコストの問題、放射線に関する安全性への懸念などのデメリット(課題)があります。
現在、国際熱核融合実験炉(ITER)を中心に国際的な研究が進められており、2030年代から2050年以降にかけて商業化が予想されています。多くの国やスタートアップ企業が開発に取り組んでおり、持続可能なエネルギー源として期待されています。
核融合発電の基礎から将来性と課題まで
✨ まとめと結論
結論: エネルギーの「多角化」と「技術革新」が鍵
日本のエネルギー現状は、依然として火力発電への依存度が高く、気候変動対策とエネルギー自給率の面で大きな課題を抱えています。
この状況を打開するための対策は、**「多角的なアプローチ」**に集約されます。
- 目先の対策: 再生可能エネルギーを最大限に導入し、脱炭素化に貢献する最新技術の天然ガス火力発電、そして安全性を確保した原子力発電所の再稼働が挙げられます。
- 中期の対策: SMRのような柔軟な次世代炉の導入準備を進めるとともに火力発電は、非化石燃料(水素・アンモニア)への置き換えを実現します。
- 長期の対策: 核融合発電のような「ドリーム燃料」の技術開発を国家戦略として推進し、究極のエネルギー安全保障と脱炭素化を目指す。
日本は、エネルギーの選択肢を固定せず、再生可能エネルギー、原子力(既存炉・SMR)、水素・アンモニア、そして核融合という全ての技術革新を追求することで、国際競争力を維持しつつ、持続可能な未来のエネルギーシステムを構築しようとしています。
Geminiで作成したものを土台に大幅修正しました
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