2025年現在、日本の外国人受け入れ政策は、従来の「技能実習」から新制度「育成就労」への移行が進む大きな転換期にあります。それぞれの制度の仕組みと就労分野について、項目ごとに解説します。
1. 技能実習制度(現行制度:順次廃止へ)
- 概要: この制度のルーツは、1960年代後半に日本の企業が海外進出をした際、現地の社員を日本へ呼び寄せて技術を教えた「社員教育」にあります。これが国際協力の一環として注目され、1993年に「外国人技能実習制度」として正式に仕組み化されました。
当初は「研修」という枠組みで1年学び、試験に合格すれば2年目から「技能実習(当時は特定活動)」として働く形でしたが、2010年の法改正で在留資格「技能実習」が独立して新設されました。これにより、実習生は入国直後の講習期間を除き、1年目から労働者として保護される現在の形へと整えられました。
習熟度に応じた在留資格のステップ
在留資格は「技能実習1号」から「3号」まで分かれており、実習生が段階的に技能を高めていく仕組みになっています。技能実習1号(入国1年目) 入国直後の「基礎的な技能の修得」を目的とした期間です。この1年目の終わりに、学科と実技の両方で構成される「技能検定基礎級(または相当する評価試験)」を受験します。これに合格することが、次へ進むための必須条件となります。
技能実習2号(2・3年目) 1号で学んだ基礎をもとに「技能に習熟する」ための期間です。最長2年間の活動が可能で、実習生はここで現場の中心的な技術を身につけます。2号を修了するまでに、さらに上の「技能検定3級(または相当する評価試験)」の実技試験に合格すると、さらに上のステップへと進む資格が得られます。
技能実習3号(4・5年目) 2号までで身につけた技能を「熟達」させる、最も高度な段階です。この資格へ移行するには、本人の試験合格だけでなく、受け入れ先の企業や監理団体が「優良である」と認定されている必要があります。4年目に入る前に一度1ヶ月以上母国へ帰国することが義務付けられており、再入国後に最後の2年間の実習を行います。
このように、試験による「習熟度の証明」が、日本に滞在し続けられる期間を左右する重要な鍵となっています。
また、現在はこれらの制度を抜本的に見直し、人材確保と育成をより明確にした「育成就労制度」への移行(2027年まで)が進められています。
外国人技能実習制度とは | 外国人技能実習制度の円滑な運営を支援 | JITCO – 公益財団法人 国際人材協力機構(旧:国際研修協力機構) - 2025年の状況: 2024年10月末時点で約47万人(全体の20.4%)に達し、前年比約14%増と着実に拡大しています。在留資格別では3番目の多さです。職種別では建設関係が25.1%と最多で、次いで食品製造(20.2%)、機械・金属(11.9%)の順に多く、これら3分野で全体の約6割を占めるなど需要が集中しています。農業や繊維・衣服関係も一定の割合を維持しており、幅広い産業の労働力を支える現状が鮮明です。
【2025年版】技能実習生の人数推移と現状|国別・都道府県別の割合まとめ | 外国人採用 | ヨロワーク - 就労分野: 介護、食品製造業、牛豚食肉処理加工業、食鳥処理加工業、缶詰巻締、ハム・ソーセージ・ベーコン製造、そう菜製造業、農産物漬物製造業、医療・福祉施設給食製造、パン製造、耕種農業、畜産農業など、91職種168作業が対象です。
技能実習制度移行対象職種・作業一覧(91職種168作業) - 問題点:実態が深刻な労働力不足を補う「安価な労働力の確保策」となり、本来の「国際貢献」という目的と乖離している点です。原則転籍が認められない仕組みが、低賃金や長時間労働、ハラスメント、さらには失踪の温床となっており、国内外から「現代の奴隷制」との厳しい批判を招いています。送り出し機関への高額な手数料による借金問題も、実習生を過酷な環境に縛り付ける要因となっています。
社会問題化する「技能実習生」 制度の現状と課題:日経ビジネス電子版
2. 育成就労制度(2027年までに開始される新制度)
- 概要: 従来の技能実習制度を発展的に解消し、2027年4月までに施行される新制度です。深刻な人手不足を背景に「人材確保」と「人材育成」を目的とし、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能習得を目指します。技能実習では制限されていた「本人意向による転籍」が一定要件下で可能になるほか、日本語能力要件が新設されるなど、外国人の権利保護とキャリア形成を重視した設計となっています。
- 大きな変更点: 主な変更点は、目的が「国際貢献」から「人材の育成・確保」へ明確化されたことです。また、原則禁止だった転籍(職場変更)が、一定の条件(1〜2年の就労や日本語・技能レベル等)を満たせば本人の希望で可能になります。さらに、受け入れ時の日本語能力要件が新設され、将来的に「特定技能1号」への移行を前提とした3年間の育成プログラムとなる点が大きな違いです。
- 日本語要件:就労開始時に、日本語能力試験N5(A1)相当以上の合格、または相当する講習の受講が必要です。就労開始1年後には、転籍の条件としてN5〜N4(A1〜A2)相当以上の合格が求められます。さらに「特定技能1号」へ移行する際には、N4(A2)相当以上の合格が必須となります。
育成就労制度 | JITCO – 公益財団法人 国際人材協力機構(旧:国際研修協力機構) - 就労分野: 基本的に「特定技能」と共通する分野に限定されます。
3. 特定技能制度
- 仕組み: 特定技能制度は、改正入管法の施行に伴い2019年(平成31年)4月1日から始まりました。
深刻な人手不足が生じている産業分野において、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的とした在留資格です。2019年4月から運用が開始され、
特定技能には1号と2号の2種類があります。
特定技能1号は相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動。在留期間は通算で上限5年(更新可能で、1年、6か月又は4か月ごとの更新)。
家族の帯同は不可。受入れ機関による支援(生活オリエンテーション、相談対応など)が義務付けられています。
日本語能力の要件は、生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認する必要があります。具体的には、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)のA2レベル以上、または日本語能力試験(JLPT)のN4以上への合格が求められます(介護分野のみ追加で介護日本語評価試験の合格が必要)。ただし、技能実習2号を良好に修了した場合は免除されます。
特定技能2号は、熟練した技能を要する業務に従事する活動。在留期間は上限なし(3年、1年又は6か月ごとの更新可能)。家族(配偶者、子供 親・親戚不可)の帯同が可能で、支援義務はありません。日本語能力の要件は不要(試験等での確認は原則不要)ですが、一部の分野(例:漁業・外食業)ではJLPT N3以上の取得を要件とする場合があります。

- 就労分野: 2019年4月から運用が開始され、現在は介護、ビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業の16分野が対象となっています。
在留資格「特定技能」とは | JITCO – 公益財団法人 国際人材協力機構(旧:国際研修協力機構)
4. 留学生の就労
在留資格「留学」を持つ外国人がアルバイト等を行うための「資格外活動許可」の手続きについて説明したものです。
主な内容は以下の通りです:
- 包括許可: 一般的なアルバイト向けです。原則として週28時間以内(長期休業期間中は1日8時間以内)の就労が認められます。
- 個別許可: 包括許可の範囲を超える活動や、インターンシップ、個人事業主としての活動、業務委託契約など、稼働時間の客観的な確認が難しい場合に必要です。
- インターンシップの特例: 単位取得に必要な実習や、卒業間近の学生が就職活動の一環として行う場合は、週28時間を超える許可が出ることもあります。
「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について | 出入国在留管理庁 - 職種限定:風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律(風営法)第2条第1項で定められた「風俗営業」に当てはまるアルバイトが禁止されています。
つまり、パチンコ店、ゲームセンター、麻雀店、キャバレー、スナックなどです。これらの職種では、仕事の内容に関わらず留学生は働くことができません。例えば、キッチンや清掃など表には出ないポジションや、ティッシュ配り等の間接的な仕事も禁止されています。
外国人留学生アルバイトの職種制限とは?知っておきたい雇用ルールを解説|アルバイト採用のトリセツ「NL+」|株式会社ノーザンライツ
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