Meduza(メドゥーサ)の記事「Time is running out」は、 2023年6月23日に公開されたもので、ロシアの民間軍事会社ワグネルの創設者であるエフゲニー・プリゴジンが、ロシアによるウクライナ侵攻の正当性を真っ向から否定した衝撃的な動画の内容をまとめたものです。Geminiによる翻訳、まとめ
2023年6月24日に発生した「ワグネルの反乱」。その直前である6月23日に、民間軍事会社ワグネルの創設者エフゲニー・プリゴジンが公開した約30分間の動画は、ロシアがそれまで掲げてきた「特別軍事作戦」の大義名分を根底から覆す衝撃的なものでした。
この記事は、彼が国防省や特権階級(オリガルヒ)をいかに激しく糾弾し、この戦争の「真の目的」が何であったと主張したかを詳述しています。
プリゴジンが暴いた「ウクライナ侵攻」の虚構:ドンバス、利権、そして傀儡大統領構想
1. 侵攻の正当性に対する真っ向からの否定:ドンバスの真実
ロシア政府は侵攻の際、「ウクライナによるドンバス地方へのジェノサイド(大量虐殺)」や「NATOと結託したウクライナからの攻撃が差し迫っていた」という主張を繰り返してきました。しかし、プリゴジンはこの主張を「完全な嘘」であると断じました。
彼によれば、2022年2月以前のドンバス地方の状況は、2014年の紛争勃発以来続いてきた膠着状態と何ら変わりはありませんでした。ロシア軍とウクライナ軍の間で砲撃の応酬はあったものの、ウクライナ側にロシアを攻撃しようとする「異常な攻撃」の兆候は存在せず、NATOと共に攻めてくるという計画も作り話であったと批判しました。つまり、ロシア国防省は国民だけでなくプーチン大統領をも欺き、戦争を始めるための偽りの口実を捏造したのだと指摘したのです。
2. 戦争の真の目的(一):ショイグ国防相の個人的野心
プリゴジンが最も激しく攻撃したのが、セルゲイ・ショイグ国防相とゲラシモフ総司令官です。彼によれば、この戦争は「国家の安全保障」のためではなく、指導部の極めて個人的な欲求のために引き起こされました。
ショイグ国防相の目的は、自らの地位を確固たるものにし、「元帥」の階級と2つ目の「ロシア英雄」の勲章を手に入れるという、虚栄心に近い野心であったとプリゴジンは主張しています。一人の男の「勲章」のために、数万人のロシア兵が死地へと送り込まれたというのが、プリゴジンの視点です。
3. 戦争の真の目的(二):オリガルヒによる資産の略奪
さらにプリゴジンは、ロシアを実質的に支配している特権階級(オリガルヒ)のクラン(一族)にとっても、この戦争は莫大な利益を生むビジネスであったと指摘しました。
彼らの目的は、ウクライナの領土を占領し、そこにある産業資産や資源を自分たちの間で分割・略奪することでした。かつて「聖戦」や「同胞の解放」と呼ばれたこの戦争は、その実態において、利権をむさぼるための「組織的な強盗(ラケッティア)」へと変貌していたのです。
4. 占領後の傀儡大統領構想:ヴィクトル・メドヴェチュクの役割
プリゴジンの主張の中で特に具体的なのが、ウクライナ占領後の政治体制についてです。彼は、ロシアの特権階級たちが、親露派のウクライナ人政治家であり、プーチン大統領と親交が深いことでも知られるヴィクトル・メドヴェチュクを、ウクライナの新たな大統領(傀儡政権のトップ)に据える計画を持っていたと暴露しました。
メドヴェチュクはこの目的のために、侵攻に合わせてキーウへと戻る準備をしていたとされています。つまり、この戦争は「ウクライナの非ナチ化」や「民主化」ではなく、ロシアの利権を代表する人物をリーダーに据え、ウクライナという国家そのものを私物化するためのプロジェクトだったというわけです。
5. 軍指導部の無能さと「血の代償」
動画の後半でプリゴジンは、侵攻計画そのものが「無能な作戦」であったと吐き捨てました。軍指導部が「演習だと言い張れば誰も気づかないだろう」という甘い見通しで、長大な車列を組んでキーウへ向かわせ、十分な弾薬も装備もない兵士たちを送り込んだ結果、開戦直後の数日間で「最も能力の高い部隊」が壊滅したと述べています。
現在進行中の戦況についても、国防省は「ウクライナ軍に甚大な被害を与えている」と嘘の報告を繰り返しているが、実際にはロシア軍は血を流しながら後退を続けていると警告しました。
結論:「時間は失われている」
プリゴジンはこの動画を、戦場での混乱と不満が爆発寸前であるという警告で締めくくっています。「時間は急速に失われている」という言葉は、無能な軍指導部に対する最後通牒であり、その数時間後に彼は実際に「正義の行進」と称してロストフ・ナ・ドヌの軍司令部を占拠し、モスクワへと進軍することになります。
このMeduzaの記事がまとめたプリゴジンの証言は、ロシア軍内部の深い亀裂を浮き彫りにしただけでなく、プーチン政権が掲げてきた戦争の大義が、いかに個人的な野心と経済的利権にまみれたものであったかを世界に突きつけた歴史的な記録と言えます。
※このまとめは、ご提示いただいた Meduza の記事の内容に基づいて構成しています。
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