このYouTube動画は、エネルギーフォーラムの番組「プロジェクトE」で、株式会社Helical Fusion(ヘリカルフュージョン)のCEOである田口昂哉氏を招き、核融合技術の開発状況と、同社が推進するヘリカル方式について解説したものです。
動画の主な内容は以下の通りです。
1. Helical Fusion(ヘリカルフュージョン)の概要
- 事業内容とビジョン
- 太陽の中で起こっている核融合の技術を用い、人工的な太陽を作り出し、新しいエネルギー源とする核融合発電の商業化を目指しています [01:27]。
- ビジョンは「人類は核融合で進化する」 [02:21]。
- 創業経緯
- 田口CEOは、京都大学文学部(倫理学専攻)出身で、銀行やコンサルティング会社を経て、核融合科学研究所(NIFS)の研究者と2021年に共同創業しました [03:00]、[03:19]。
- 商業化の可能性が見えたため、アカデミアから飛び出し、実用化を目指すという研究者側の強い意志からスタートしました [03:33]、[03:40]。
2. 核融合エネルギーの特徴と日本の意義
- 核融合のメリット [05:24]
- 化石燃料との比較: CO2フリー、燃料(海水から採取)が枯渇しない。
- 核分裂(原子力)との比較: 暴走リスクがない(原理的な安全性)、長期管理が必要な放射性廃棄物が出ない。
- 再生可能エネルギーとの比較: 出力の安定、エネルギー密度が非常に高い(最小限の土地で大きなエネルギーが得られる)。
- 日本における意義 [06:16]
- エネルギー需要の増加と脱炭素の必要性の両立、そして特にエネルギー安全保障・自給率(現在約15%)の改善に貢献します [06:36]。
- 核融合技術が確立すれば、日本がエネルギーを輸出国になる可能性も生まれます [06:59]。
3. ヘリカル方式の技術的進捗と優位性
- ヘリカル方式の技術的基盤
- Helical Fusionは、京都大学で1950年代に発明され、国立研究機関で約70年間、数千億円〜1兆円を投じて開発されてきた日本のヘリカル方式の技術を、スピンアウトという形で継承しています [09:26]、[10:04]、[10:11]。
- 核融合科学研究所の**大型ヘリカル装置(LHD)**は、1億度の達成と、約1時間弱の長時間連続維持を両立しており、これは世界でも唯一の成果です [10:36]、[10:52]。
- ヘリカル方式は、原理的に連続運転に限界がない「定常運転」に適しています [10:59]、[11:13]。
- 商業炉に必要な3つの要件
- 商業炉の実現には、核融合反応の達成に加え、以下の3点が揃う必要があります [12:17]。
- 定常運転: 1年間運転し続けられること [12:32]。
- 賞味発電 (Q>1): 発電量が自己消費電力を上回ること [12:35]。
- 保守性: 定期的な交換が必要な炉の壁(ブランケット)などのメインテナンスが容易な構造であること [13:04]。
- ヘリカル方式は、これら3つの要件を同時に満たす上で、他の方式(トカマク、レーザーなど)よりも有利であると結論付けています [13:48]、[14:03]。
4. 商業化に向けた計画と課題
- HELIXプログラム
- 最終実証装置である「HELIX Haruka」(技術実証を完了)と、最初の発電装置「HELIX Kanata」の建設を目指しています [04:43]。
- 具体的な課題:
- ブランケット技術:核融合エネルギーを効率よく熱に変換する炉の壁(ブランケット)の技術開発(残り約4年で完了予定) [08:31]、[08:41]。
- 超電導技術によるコンパクト化:最新の高温超電導(HTS)を使って、太陽を作る部分をより小型・高効率化(残り約3年で完了予定) [08:44]、[09:04]。
- タイムラインと目標
- 上記2つの課題の実証を完了させ、2030年代の定常的な実用発電を目指しています [11:52]。
- HELIX Harukaの建設には、あと約400億円が必要と試算されています [17:14]。
- 最大の課題
- 技術的には目処が立っているものの、日本は海外(米国、中国)と比べて**資金(投資額)**が圧倒的に不足している点が大きな課題です [25:29]、[26:16]。
http://www.youtube.com/watch?v=sNe9IZREKPo
【核融合】技術開発はここまで来ている!日本がエネルギー輸出国に?【ヘリカルフュージョン・田口昂哉CEO】
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