兵庫県文書問題第三者委員会(以下第三者委員会)は、2024年3月の告発文を公益通報とした。果たして、その判定が正しいのか?法令と突き合わせをしながら検証する。
経緯(2024年3月~4月初頭)

第三者委員会の評価と法的な面での反論
1. 第三者委員会による「公益通報」認定の根拠と判断
第三者委員会は、2024年3月の元県民局長による通報は、公益通報者保護法上の「公益通報」に該当すると結論付けました。その認定根拠および県側の対応に対する判断は以下の通りです。
公益通報の認定
保護要件を充足し、「警察と報道機関への1 0か所に限った通報」であったことから通報先も妥当であり、外部公益通報三号とした。
※保護要件については、下の「独自の保護要件」を参照のこと。
違法な通報者探索
県側が行った公益通報者への特定調査、および公用パソコンの押収や私的なメールの開示といった一連の捜査的行為は、通報者を探索・排除する目的で行われたものであり、法の趣旨に反する違法なものとした。
懲戒処分の不当性
文書の作成・配布を理由とした懲戒処分は、公益通報に対する不利益な取扱いに当たり、同法に抵触する無効なものと評価した。
※独自の保護要件: 報告書131ページで、外部通報において問題となる犯罪行為等の構成要件のすべてを伝えていなければ公益通報に該当しないというのは社会通念上相当ではない。構成要件の一部である「法令違反行為を主張」していればよいと解するのが相当であるとした。
第三者委員会による「三月文書(本件文書)」に関する見解
Geminiまとめ

2. 公益通報者保護法(第三条)との決定的な乖離
法律の条文と照らし合わせると、第三者委員会の判断は「法を拡大解釈」したと言わざるを得ません。
公益通報者保護法
2024年8月7日に行われた、兵庫県の斎藤元彦知事(当時)による記者会見(YouTube要約)
(1)法が定めるプロセスを無視
公益通報者保護法 には、保護されるべき通報の要件が明記されているが、第三者委員会の報告書は上記に記載の通り「構成要件の一部」のみで外部公益通報三号とみなした。
通報ルート
法第二条に厳格に定められている「被害の拡大を防止するために必要であると認められる者」、すなわち「報道機関、消費者団体、事業者団体、労働組合 など」に送付する必要がある。第三者委員会は兵庫県警を含めてこれら10カ所に送付したので、公益通報の要件を満たしているとした。
しかしながら、本件は本来、通報先のみが知り得るはずの通報が外部の一般人経由で届けられたものであり、かつ既に文書が市中に流出しているという事実から鑑みれば、公益通報者保護法における『外部通報(三号通報)』には該当しないと解するのが相当であろう。
外部通報先

具体的根拠の必要性
外部通報三号には、法第三条「通報対象事実が生じ、若しくはまさに生じようとしていると信ずるに足りる相当の理由」の記載から、なぜそれが法令違反なのかという具体的根拠が通報時点で必要とされている。
第三者員会はこの要件をほぼ無視し、上記の通り「構成要件の一部である法令違反行為の主張」を含んでいたことだけで、元県民局長の外部通報を公益通報だと断言した。
内部通報においては根拠がなくても保護される可能性はある。
しかし、外部通報においては、真実相当性として「単なる憶測や伝聞ではなく、通報対象事実を裏付ける証拠や関係者による信用性の高い供述など、相当の根拠」の提示が必要で、当該解釈のみでは法定の要件を充足していると判断することができない。


(2)消費者庁の見解との矛盾
また、制度の設計者である消費者庁は、通報を受ける側の「認識」を重視する。
消費者庁の見解: 「公益通報だとして聞いたのであれば扱わなければならないが、公益通報であることを聞かなかったのであれば、当該内容が公益通報だと知らないことになるので、配慮はできない」

つまり、外部通報先からの要請で様式を整えて意思表示をしない限り、受け取った側には『公益通報として扱う義務』は発生しません。
3.探索は違法なのか?
当該文書は一般人からの情報提供で真実相当性の記載がなく、公益通報の要件を満たしてない上に実名や企業名に対する誹謗中傷が含まれており、そのまま放置すれば多方面に著しい不利益を及ぼすことが予見されたため、看過できないと判断。
調査の結果、県民局長による作成の疑いが浮上したため、機密情報漏洩の疑いに基づき面談を実施したものであり、一連の対応に違法性はない。
法は要件を重んじるからこそ機能する。道義的な理由があれば、要件を無視して良いという第三者委員会のロジックは、もはや「法」ではなく「世論に迎合した最初から結果ありきの裁き」に過ぎない。
補則:各種反論に対する回答例
◆告発文書には、知事や副知事ついても書かれていたのに、公益通報に相当するかどうかの判定に第三者の見解を入れなかった。これは、公益通報違反にあたるのではないか?
【回答】
法律には公益通報に相当するかどうかを第三者を入れて判断せよとは書かれてない。県職員の判断をもとに知事が最終決断したに過ぎず、違法性はない。
◆兵庫県が依頼した「第三者委員会」の指摘(知事側の対応は公益通報違反で不当)をなぜ受け入れない?
【回答】
兵庫県が依頼したのは確かだが、その結果を受けるかどうかは法令に従って判断する。
県は、一連の対応は適切であると評価し、第三者委員会の指摘を受け入れてません。
◆消費者庁が内部資料の提示がなくても公益通報として保護される可能性があると述べているが?
【回答】
外部公益通報二号で文書に記名と住所が文書での通報であれば、内容によって保護される可能性はある。
しかし、3月12日の文書は無記名の上、文面も不十分のため、公益通報に相当するとは判断できない。
兵庫県警「公益通報としての受理には至っていない」元県民局長の3月の斎藤元彦知事告発文書
◆有識者からも同様の指摘がなされているのか?
【回答】
野村修也中央大学大学院教授 が第三者委員会に対して苦言を呈している。
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報告書による「公益通報」の認定はハードルが低すぎて、組織の破壊、対象者に対する誹謗中傷、業務妨害などといった不正目的での通報でも、簡単に「公益通報」の体裁を整えられてしまう。
野村修也氏のX
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■注釈
- この文書はGeminiの協力の元で作成した。
- パワハラに関する事象は、公益通報外のため今回の内容には含まれない。
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