憲法改正の審議事項を下記にまとめました。
1.自衛隊の明記と自衛の措置
自民党は、憲法9条1項・2項を維持しながら、新たに自衛隊を明記する条文を設け、自衛の措置についても言及する方針です。2018年の条文イメージでは、国の平和と独立を守り、国と国民の安全を保つための自衛隊の保持などを規定する構想が示されています。
【9条改正(追記)】
第9条の2
(第1項)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
(第2項)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
参照元 産経新聞
2.緊急事態への対応強化
「緊急事態条項」は、国家が緊急時にも法的に機能し続けるため、通常時とは異なる権限や手続きを憲法上に定める仕組みです。
緊急時に政令を発する制度や、国会議員の任期延長などが議論されています。
「法律で対応できる」という解釈論もありますが、国会が機能しない事態など、現行法だけでは対応が難しいケースも想定されます。
(1)【防衛】国会の機能を止めない
他国からの侵攻で選挙が実施できず、議員任期が切れる事態に備え、特例で任期を延長し、民主的な統治を維持します。任期延長などの制度は、内閣が自由に決めるのではなく、国会の関与を確保する必要があります。
なお、任期延長などの特例措置を定める法律の制定には、国会の議決が必要であり、緊急事態を理由に内閣が自由に決められるものではありません。
(2)【災害】私権制限の法的根拠
大規模災害では、倒壊した建物や障害物を撤去して救助ルートを確保したり、避難所設置のため私有地を一時使用したりする必要があります。現行法でも一定の対応は可能ですが、国会が機能しない場合などに備え、緊急時の権限と濫用防止の仕組みを明確にすることが議論されています。
(3)【その他緊急事態】緊急政令・緊急財政処分の範囲
武力武力攻撃・テロ・感染症の大規模流行などに際し、法律に代わる政令や緊急の財政支出を認める制度も議論されています。
一方、災害対策基本法や新型インフルエンザ等対策特別措置法など、現行法にも緊急対応の規定があります。
今後は、憲法上の権限を設ける必要性、対象事態や権限の範囲、国会の関与・事後承認、濫用防止の仕組みが主な論点です。任期延長とは別に検討すべきとの意見もあります。
参照元:衆議院憲法審査会・2026年4月23日会議録、2026年7月9日会議録
3.参議院の合区解消・地方公共団体
2026年7月16日の衆議院憲法審査会では、自民党側から、都道府県を参議院選挙区の単位とすることで合区を解消する構想が説明されています。地方の民意や実情を選挙に反映させることが、その主な理由です。
一方で、憲法14条の法の下の平等に基づく「投票価値の平等」から慎重論も上がっています。
参照元:
4. 教育環境の充実
家庭の経済状況によって教育機会が左右されないよう、教育の重要性を憲法上明確に位置づけるとともに、私立学校への助成に関する規定を見直すという提案です。
現行憲法26条2項は、義務教育を無償とすることを定めています。また、89条は、公金その他の公の財産を宗教上の組織・団体の使用や便益のために支出することなどを制限するとともに、公の支配に属しない慈善・教育・博愛の事業への公金支出を制限しています。
自民党は、この89条の教育に関する規定が私立学校への助成を禁じているかのように読めるとして、現状に即した表現への変更を提案しています。
参照元:
おまけ:【憲法改正には国会と国民の承認が必要】
憲法改正は、内閣や国会だけで決めることはできません。まず、衆議院・参議院それぞれの総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し、その後、国民投票で有効投票の過半数の賛成を得る必要があります。最終的に国民の意思によって改正の可否が決まる仕組みです。
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